砂漠の夜の幻想奇談


指を含んだまま菓子に歯を立てると、中のクリームが飛び出しサフィーアの指を伝う。

勿体ないと言うように、それを舐めとるダハナシュの舌。


(く、くすぐったいよ…!やめ、やめてダハナシュ~!!)


笑い声を立てないよう必死に口を結ぶサフィーアを見て、またニヤリ。

ダハナシュはゆっくり菓子を食すと、サフィーアの指を名残惜しげに解放した。


「ふむ。美味いな」


サフィーアに流し目を送り、ペロリと唇を舐める仕種が何とも色っぽい。

しかし当のお姫様はまだまだお子様だ。

色気より食い気。

ダハナシュのアピールなど丸無視して、残りの菓子をモグモグと食べている。

それを見て、ダハナシュはちょっぴり切なくなった。

「ハァ……」


(どうしたのかしら?)


横で額を押さえているダハナシュの気持ちがわからず、サフィーアの脳内で疑問符が飛び交う。


「駄犬の気持ちが少し理解できてしまった…」

色々と疎いお姫様には過保護くらいで丁度いいのではないか。