砂漠の夜の幻想奇談



 その頃、ダハナシュに無理矢理連れ出されたサフィーアは、市場(スーク)で食い歩きの真っ最中だった。


(ん!これ美味しい!)


クリームと蜜がたっぷり入った揚げ物の菓子を口に頬張る。

隣にはサフィーアを楽しそうに見つめるダハナシュ。

「姫は美味そうに食べるなぁ」

実際、美味しい。

それを伝えようとして、サフィーアは菓子を少し千切った。


(ダハナシュも食べればわかるわ!)


観察に徹していたダハナシュにそれを差し出す。

「ん?くれるのか?」

笑顔で頷く姫にダハナシュは意地悪くニヤリと笑った。

「どれ…」


パクリ。

そんな効果音がピッタリだろう。

ダハナシュはサフィーアの指ごと菓子を口に含んだ。


(ひゃあ!?ダハナシュ!?)