砂漠の夜の幻想奇談



 さて、政務所ではシャールカーンが顔に笑みを張り付けながら貴族達と交流を深めていた。


(ああっヤバくね!?王子、今にもブチ切れそうだぜ)


従者として傍に控えているトルカシュはシャールカーンの顔色をうかがいハラハラ。

先程、退出しようとして引き留められ、それからズルズルと今に至る。

「もう部屋に戻りたい。いい加減、解放しやがれゴマスリ貴族ども」とシャールカーンの顔には書いてあった。

トルカシュにしかわからない文字で。

「なあ、親父。王子助けてあげてよ!あのままじゃヤバイって!」

近くにいた自分の父バハラマーンの腕を掴み、こそっと耳打ちするトルカシュ。

「何がヤバイんだ?楽しそうではないか」

将軍であるバハラマーンの隆々とした腕の筋肉を触って「相変わらずスゲーな」と思いつつ、トルカシュは焦るように言った。