砂漠の夜の幻想奇談



 ドニヤは走っていた。


(サフィーア様!どちらにいらっしゃるの!?)


皿いっぱいの砂糖菓子を持って戻ってみたら、部屋はもぬけの殻。

皿をテーブルに置いてから廊下を駆け巡り、サフィーアの姿がないか必死に探す。

「いないわ…。お一人で遠くへはいかないと思うんだけど…」

広い王宮内で迷子になっていたら大変だ。

「早く見つけて差し上げないと…!」

しかし、ドニヤ一人でこの無駄に広い王宮内を走り回るのは大変だ。

行き違いになっても面倒である。

「あの変態魔神にも手伝わせましょう!」

閃いた彼女はダハナシュを呼ぼうとした、が。

「あら…?そういえば、変態魔神も…」


いない。

部屋にも、待機しているはずの廊下にも、護衛係のダハナシュは見当たらない。

不審に思ったドニヤは、この緊急事態を報告すべくシャールカーンのいる政務所へ走った。