砂漠の夜の幻想奇談


「くっくっくっ」


(え?)


頭上でカシェルダらしくない笑い声が響いた。

「いやぁ、姫に抱き着かれるのは気分がいい。まあ、駄犬の姿で、というのが微妙だが」

急に変わった口調。

サフィーアは慌てて「カシェルダだった顔」を見上げた。


(ダ…ダハナシュ!?)


いつの間にかカシェルダは消え、目の前には魔神ダハナシュのニヤリとした笑顔が。

「どうした、サフィーア姫。俺では不満か?」


(え?あれ?カシェルダは!?)


親を探すヒナ鳥みたいにキョロキョロと首を動かすサフィーア。

わかってない彼女にダハナシュが笑みを深めながら解説した。

「本物の駄犬はいないぞ。俺が変身して奴の姿になっていただけだからな」

魔神とは何にでも変身できる能力を持つ。

教えられてサフィーアはあからさまに肩を落とした。