砂漠の夜の幻想奇談



(え!?なんで!?カシェルダ!?)


ここバグダードにカシェルダがいるはずない。

彼は今コンスタンチノープルにいるのだ。

「っ…!!」

おかしな事態に叫びそうになったサフィーア。

だが、すかさずカシェルダの手により口は塞がれた。

「サフィーア姫、声を出してはいけません。お忘れですか?」

仕種も話し方もカシェルダその人。


(本当に本当に、カシェルダ?)


信じられなくて戸惑っていると、カシェルダに優しく抱き寄せられた。

「お辛いことがあったのなら、私の胸をお貸し致します」

耳に囁かれる切ない声。


「お一人で、泣かないで下さい」


もう、カシェルダがここにいる理由なんてどうでもいい。


(カシェルダぁあ!!)


サフィーアはヒクヒクと肩を震わせてカシェルダの胸にしがみついた。