砂漠の夜の幻想奇談



 それから、サフィーアの手は勢いを無くしていった。

張り切っていたのに、なぜかどんどんペースダウンしていく。

ドニヤがちらりと主の顔をうかがうと、目に見えてションボリしているのがわかった。

「サフィーア様?お疲れですか?」

心配して尋ねれば、心ここにあらずといった瞳を向けられる。


(はぁ……どうしよう…。シャールを怒らせちゃった)


「サフィーア様?聞こえてらっしゃいますか?」


(うう……意地なんか張らないで一緒に行けば良かった…)


「サフィーア様~?」


(きら…嫌われちゃったら……どう、しよう…)


突然、サフィーアの瞳が潤んだ。

「サフィーア様!?」

今にも泣きそうな主に仰天したドニヤ。

おろおろした結果、彼女は気分転換に甘いお菓子でも持って来ようと慌てて席を立った。