砂漠の夜の幻想奇談



 それから三日後。

シャールカーンとそのお付きの者達は慣れ親しんだ都バグダードを発った。

バグダードからダマスまでは早くても約十日間ほどかかる。

シャールカーンは愛馬ジェドラーンに乗って、他の者はそれぞれラクダに乗って陸路を移動した。



 さて、つつがなく旅をしていた一行だったが、シリア砂漠のど真ん中を西へ西へと通過している時に事は起こった。


「王子、知ってますか?ここら辺は、出るそうですよ…」

隣でラクダを駆っていた従者トルカシュが、いきなり妙な話を始めた。

「何がだ?」

するとトルカシュは意味深にこう言った。

「お、化、け、ですよ~!十二人の亡霊が、真夜中の砂漠をさ迷っているんですよ~!」