砂漠の夜の幻想奇談



 重要な宴が終わり、自室へ戻ったゾバイダ王妃は上手くシャールカーンをダマスに追いやれたことをほくそ笑んだ。

「ダリラや!ダリラ!」

それから彼女は、大声で一人の老婆を呼んだ。

「ここに」

どこからともなく、ぬっと姿を現した老婆ダリラ。

彼女の顔つきは皺くちゃで、ひどく醜かった。

「ダリラ、上手くいったぞ!お前の計画通り、シャールカーンはダマスへ行くことになった!」

「では、後のことはお任せ下さい」

「どうするのだ?」

老婆ダリラはニカッと笑った。

口元から覗いた歯はところどころ欠けている。

「刺客を送ります。ダマスへは陸路で砂漠を通りますから、そこが王子の墓場となるでしょう」

「ふふ、期待しているぞ」


シャールカーンの暗殺計画は今のところ順調であった。