砂漠の夜の幻想奇談


「そうだ。丁度いいからサフィーアにも教えておこう。宴が始まった時に混乱するといけないし」

いきなり何の話だろうか。

首を傾げるサフィーアから紙と筆を借りるシャールカーン。

「簡単に人間関係を説明しとくよ」

そう言って彼は紙にオマル王の名前を綴った。

「俺の父上には会ったから、わかるよね?」


(ええ。謁見の間にいらっしゃったから)


頷くサフィーアを確認してからシャールカーンは次に「ブドゥール」という名前を記した。

「ブドゥール王妃。この方は父上の第一正妃で、ダウール兄上の母君だ」

行方不明の第一王子ダウールマカーンを生んだ正妃。

本来なら彼女が一番王妃として強い権力を持っているはずだが、第一王子が行方不明になってしまったため今は立場が危うい。