砂漠の夜の幻想奇談


「汝の上にも平安あれ。ノーズハトゥ、久しぶりだな」

親しげに話し出すシャールカーン。

サフィーアは一人、首を傾げた。


(誰かしら?シャールの姉上とか?)


二十歳前後くらいに見える彼女は落ち着いた様子で微笑んだ。

ベールをしていないせいで表情がよくわかる。

「いらっしゃると聞いて、飛んで参りました。こうしてお会いできて幸せです」

「俺も会えて嬉しいよ」

見つめ合う二人。

ノーズハトゥという女性に向かって微笑するシャールカーン。


(あ……)


なぜだか胸がチクリと痛んだサフィーアだった。


「紹介しよう。サフィーアだ。いずれ妻に迎える予定の、俺の寵姫」

突然シャールカーンに肩を抱かれ、ビクリと震える。

そんなサフィーアを見つめてノーズハトゥは表情を曇らせた。

「寵、姫……。そう…ですか…。この方が…」