砂漠の夜の幻想奇談


悪気はないと言ってニコリと微笑む王様を見て、サフィーアは少しだけ緊張が解けたような感じがした。

そして、今度はサフィーアがオマル王の顔を遠慮なく観察する。


少々褐色の肌に、黒髪。

顎には豊かなヒゲを蓄えている。

笑えば感じが良い。

真面目な顔をしたら威厳がありそうだ。


「彼女はサフィーアと言います。口が利けませんので、会話はラテン語の文章で」

「なんと!文字が書けるのか!さすがシャールカーン!頭の良い娘を選んだな」

満足げにオマル王が頷いた時だった。


「シャール兄上!」

「カン!」

嬉しそうな表情のカンマカーンが謁見の間に入ってきた。

そして、彼の後ろにはお決まりの侍女達――かと思いきや。


「ごきげんよう、シャールカーン王子。貴殿の上に平安あれ」

侍女ではない。

綺麗に身を飾り立てた黒髪の女性が上品に挨拶をした。