砂漠の夜の幻想奇談



 円形の都市バグダード。

中心には広大な王宮があり、それを取り囲むようにして街が存在する。

この大都市を守るべくつくられた城壁は王宮ごと街をグルリと囲んでおり、中と外を行き来するためには城門を通らねばならない。

門は全部で四つ。

シリア門、ホラーサーン門、バスラ門、クーファ門である。

シリア門から街を出れば道はコンスタンチノープルへ繋がり、ホラーサーン門を行けばいずれ中国の長安に辿り着く。

バスラ門から伸びる道を進めばインドへ、クーファ門を出ればイスラム教の聖地メッカへの道となる。


これらの道のおかげで、バグダードは国際商業ネットワークの中心地であった。

中国、インド、東南アジア、エジプト、ヨーロッパなど、様々な地域から多くの商人がバグダードへ集まってくる。

ゆえに都市は発展し、栄え、大いに賑わっていた。