異存がなければすぐにでも太守に任命すると言う王に、シャールカーンではなく、ゾバイダ王妃の横で小さくなっていた弟のカンマカーンが異を唱えた。
「父上。いずれ兄上が王位を継ぐなら、ここで父上の政務をお手伝いなさる方がよろしいのでは?」
正反対の意見に母親のゾバイダは焦り、シャールカーンは苦笑した。
(全く…カンは相変わらずだな。ゾバイダ王妃のように少しは腹黒くならないと、生き残れないぞ)
まだ若い少年の王子はシャールカーンを純粋に兄として慕っていた。
そんな弟をシャールカーンも好ましく思っている。
だから王位を譲ってもいいと考えているのに、保護者が敵意剥き出しなのだから頭が痛い。
(俺が素直にダマスへ行った方が事を荒立てなくて済むか…)



