砂漠の夜の幻想奇談


「サフィーア姫よ。うるさい駄犬はどうしたんだ?」

ダハナシュがふわりと近寄ってきた。


(駄犬て…カシェルダのこと?)


問われても返事ができないことをもどかしく思っていると、シャールカーンが会話を進めた。

「カシェルダなら今、コンスタンチノープルに向かっているよ。俺達はバグダードへ行く途中だ」

「ほう…そうか」

「バグダード!?サフィーアも一緒に!?」

仰天した兄王子達が騒ぎ出す。

あっという間にサフィーアの周りを囲み、質問攻めに。

そんな様子を一歩下がって見守るシャールカーンに対し、ダハナシュはある提案をした。


「シャールカーン王子よ」

「なんだ?」

「俺に姫の護衛をさせてくれ」

「は!?」

「いいだろう?駄犬の代わりだ。バグダードは何かと物騒だからな。護衛が多いに越したことはない」