砂漠の夜の幻想奇談


「大丈夫か?」

至近距離で瞳を覗き込まれ、頬が熱くなる。

サフィーアは照れ隠しのため大袈裟に頷き、シャールカーンから顔を背けた。

すると、視線の先に建物を発見。


(え…?)


先程まで月を眺めていた方角に、背の高い石造りの塔が見える。


(あれ?さっきまで、何もなかったよね…?)


一面砂漠だった。

月明かりの下、突然現れた塔に唖然。

口をパクパクさせて驚いていると、不審に思ったのかシャールカーンも塔の方へ顔を向けた。

「あれは…?」

首を傾げる王子。


(あっ…!あの塔、もしかして…!)


ここでサフィーアがピンと閃いた。

自分の推測に自信を持って塔へ駆け出す。

「あ、おい!待てサフィーア!」

不審な建物に自分から近寄っていく無防備な姫を、シャールカーンは慌てて追いかけた。