砂漠の夜の幻想奇談


「……確かに、今までと反応が違うね」

逃げ腰じゃなくなった。

そう耳元で囁けば真っ赤になって胸板を押し返してくるサフィーア。

傷に響いたが、そんなこと今のシャールカーンは気にしなかった。


「……しつこいようだけど…怪我に責任感じて、とかじゃないよね?」

まだ疑っているらしい。

呆れたサフィーアはペシッとシャールカーンの頭を叩いた。

そして、自分からそっと彼に抱き着く。

全身で素直な気持ちを表現するサフィーア。


(責任も感じてるけれど……シャールが死んじゃうかもと思ったら、自分がどうにかなりそうだったの)


もしシャールカーンが死んでいたら、あの悪夢から抜け出せずに心が壊れていたかもしれない。

そして気づいた。

彼の存在の大きさ。

大切さ――。