砂漠の夜の幻想奇談


「……っ」

真っ赤になって視線をさ迷わすサフィーア。

筆を握る手は止まっている。

膨れっ面を予想していたシャールカーンは呆気に取られた。


(なんだ?この反応は…)


内心、戸惑っていると、サフィーアが唇を動かした。

声無き声が唇の動きによって紡がれる。

シャールカーンはそれを注意深く見つめて、ハッと息を呑んだ。


「サフィーア……今…なんて…」


恥じらいながらもう一度、彼女が唇を動かす。

シャールカーンは確信した。


「俺のことが……好き…?そう、言った…?」


驚き混じりの優しい声で問われ、サフィーアは小さく頷いた。


(シャールが…好きなの。だから、傍にいるの)


文章にすると小恥ずかしいから唇で。

ちゃんと伝わったことにドキドキしていると、シャールカーンが確認するように尋ねてきた。