「ハァ、やっと二人きりか」
サフィーアを横目にシャールカーンが呟く。
サフィーアは紙と筆を持ち、会話を進めた。
(何かして欲しいことはない?水でも持ってくる?)
「いや、水はいい。それよりも浴場(ハンマーム)へ行きたいよ」
(それは傷が良くなってからよ!)
ラテン語を書くサフィーアを見つめながら、シャールカーンはふと感じたことを口にした。
「なんだか、こうもつきっきりで看病されてると調子が狂うな」
一日の大半を自分の傍で過ごすサフィーア。
怪我を心配してのことだろうとはわかっているが…。
「まるで、君に好かれているように感じる…」
言ってから「冗談だよ」と笑おうとしたシャールカーン。
しかしサフィーアの表情を見て、その言葉は飲み込まれた。



