サフィーアはあの夜の出来事を一部始終シャールカーンに伝えていた。
犯人の特徴もわかる限り教えたが、あまりに情報が少ないため捜し出すことは困難。
犯人が残した唯一の手がかりである黒い布は、シャールカーンの血で汚れていたためドニヤが捨ててしまったらしい。
諦めるしかない状況だった。
「犯人はこの屋敷に詳しい奴だ。それは間違いない」
シャールカーンがそう言ってカシェルダを見上げた時、廊下で足音がした。
「シャール兄上!ご機嫌いかがですか?」
数秒後、やって来たのはカンマカーンだった。
後ろにはお決まりの如く乳母のダリラやお付きの侍女達が控えている。
「カン。うん、気分はいいよ」
「それは良かったです」
ニッコリと微笑んでからカンマカーンは言いづらそうに切り出した。



