砂漠の夜の幻想奇談



(ごめんなさい!ごめんなさい…!!)


頭にある彼の手の温もりが優しくて、涙が止まらない。

一向に泣き止まないサフィーアを持て余すシャールカーン。

彼がどんな言葉をかけようか悩んでいた時。


「王子!起きられましたか!」

ドニヤが様子を見にやって来た。

「ああ。なんとかな」

シャールカーンは顔を上げると助けを求めるようにドニヤを見た。

「サフィーアを頼む。……泣かせてしまったんだ」

「あらあら。王子は罪な方ですね」

「……そんなことは…」

頬を染めてムスッとする王子が面白い。

クスクス笑いながらドニヤはサフィーアの肩を抱いた。

「サフィーア様、もう王子は大丈夫ですから少しお休み下さいな。ずっとつきっきりで、お疲れでしょう?」

あの夜から一度も自室には戻らなかったサフィーア。

涙を手で拭いつつ小さく頷く年下の主を、ドニヤは部屋まで送り届けた。