砂漠の夜の幻想奇談


「はぁ………」

喉の渇きを潤し、生き返ったような心地に溜息。

「やっと、まともに喋れる…」

嬉しそうな彼をボンヤリと見つめるサフィーア。

久しぶりの声。

久しぶりの笑顔。

サフィーアの中にあった緊張や不安がスーッと消えていく。

ホッとしたと同時に、涙がこぼれた。

「どっ、どうしたんだ?なんで泣く!?」

予想外な反応に焦るシャールカーン。


(だって……シャール…死んじゃうかと思った…!)


あの悪夢を思い出し、さらに涙が溢れ出す。

声無く涙するサフィーアに、シャールカーンは苦笑した。

「すまなかった。心配かけて」

優しく頭を撫でられる。

が、彼女は首をブンブン横に振った。


もとはと言えば自分のせい。

謝るべきなのはシャールカーンではない。