砂漠の夜の幻想奇談



 そこでサフィーアはハッと目覚めた。

どうやら、いつの間にか眠っていたらしい。

シャールカーンの手を握ったままの状態に安心感を覚えた。


(嫌な夢だったな…)


シャールカーンが死ぬ夢。

夢の中で見た彼の死に顔が脳裏に焼き付いて離れない。

早く忘れ去りたくて、サフィーアは寝台で眠る本物のシャールカーンを見つめた。


(シャール。ごめんなさい。私のせいで、こんな大怪我…)


寝苦しそうに眉を寄せる王子。


(私が看病するから!ずっと傍で手を握ってるから…!だから、お願い……また、笑顔を見せて)


空いている手で彼の頭を優しく撫でる。


(あれ…?)


触って、違和感を覚えた。


(なんだか…熱いような…)


気になったサフィーアは恐る恐るシャールカーンの額に手を当てた。