砂漠の夜の幻想奇談


「なんだ!?ここまで聞こえるなんて…。あいつ、バキータに何かしたのか?」

地下が気になる。

逃げる何者かを見遣れば、相手は廊下の角を曲がり姿を消していた。

「チッ」

奴を追うべきか、地下を見に行くべきか。

迷っている間にも耳に届く獣の鳴き声。


(かなり荒れてるな。バキータの様子を見に行った方が賢明か…。いやしかし、サフィーアは……)


一瞬なぜか、サフィーアがバキータに食い殺されるシーンを想像してしまった。


(そんなこと……あるわけが…)


消えたサフィーア。

深夜に地下にいた不審人物。

怒り狂うバキータ。


「まさかっ…!」


違っていてほしい。

そう祈りながらシャールカーンは螺旋階段を駆け降りた。