砂漠の夜の幻想奇談


一瞬、顔を見る。

しかし顔面まで黒いベールに覆われた相手は、目元しか肌を曝していなかった。

これでは何もわからない。


(あうっ!)


観察している隙に全身で体当たりされた。

グラリとよろめくサフィーア。

さらに肩を押され、後ろに倒れ込む。

と、そこは檻の中だった。


(えっ!?嘘!?)


バキータのいる檻に押し込まれたのだと気づき背筋が凍る。

檻の扉は犯人があらかじめ開けておいたのだろう。

一瞬、呆然としたサフィーアだったが、すぐさま我に返り檻の扉へ寄る。

しかし――。


ガチャリと音がして、カギがかかった。

手早くサフィーアを閉じ込め、カギを壁に戻す。

犯人の動きに無駄はなかった。


(う、嘘でしょ!?嫌っ!!)


鉄格子を叩いてみるも、扉は開かない。

その間に犯人は廊下を戻り立ち去った。


(そん、な……)


冷や汗をかくサフィーアの後ろで、キラリと光る双眸。

ホワイトタイガーの低い鳴き声が響いた。