砂漠の夜の幻想奇談



 螺旋階段を進み、一番下まで辿り着く。

その瞬間、廊下の奥から獣の唸り声が聞こえてきた。


(うっ…やっぱり引き返した方が良かったかな…?)


だが、犯人の顔を確かめたい。

サフィーアはゴクリと唾を飲み込むと、一本道の廊下を歩き出した。

手には先程目隠しをされた黒い布。

これを使って犯人の手をきつく縛ってやろうという魂胆だ。


慎重に奥へと進む。


(いない……)


隠れているのか、人の姿は見当たらない。

いつの間にかサフィーアはバキータの檻の前まで来ていた。


(どこにいるの!?隠れてないで出て来なさい!)


そう叫びたかったが、グッと堪える。

周囲に注意を払い、柱の陰を確認しようとサフィーアが動いた時だった。


(ひゃあ!?)


その柱の陰から勢いよく犯人が飛び出してきた。