砂漠の夜の幻想奇談



(理由は……)


意識してしまったから。

顔を合わせづらくて無意識に避けていた。

正直に答えるべきか迷いつつ卓上にある紙と筆を取ろうとした時、シャールカーンの手がサフィーアの手に重なった。


「サフィーア、もし怒っているのなら謝る。すまなかった」


(え?え!?)


怒るとは何のことか。

わからずに戸惑っていると、懺悔でもするような声でシャールカーンが囁いた。

「無断で君の身体を見たこと…赦してくれ」


(あっ!)


ピンときた。

重なっている彼の手を握り締め、首を振る。

「サフィーア?」


(違うのシャール。怒ってないわ!)


苦笑するような表情で訴えてみたら、伝わったようだ。

「赦してくれるのか…?」

大きく頷くサフィーアを見て、シャールカーンは安堵の溜息をこぼす。