砂漠の夜の幻想奇談


「俺の故郷など、どこでもいいだろう」

素っ気ない答えに不満な二人。

「それよりサフィーア姫、そろそろお休みになられた方がよろしいですよ」

上手く流れを変えられてしまう。

話をうやむやにされたくなくて、サフィーアは意地悪を承知で筆を滑らせた。

書いた内容は…。


(カシェルダが故郷を教えてくれたら寝るわ!)


読んだカシェルダは頭が痛いとばかりに額を押さえた。

「姫……」

勘弁してくれという表情の護衛官をジッと見つめるサフィーア。

期待され、カシェルダはしぶしぶ口を開いた。


「……コンスタンチノープルです」


視線をそらしての回答に違和感を感じる。

何やら嘘臭い。


「さ、答えましたから、もうお休み下さい」

そう言ってからカシェルダがランプの小さな火を吹き消した。

突然真っ暗になり慌てる姫と侍女。


こうして強引に就寝時間は訪れた。