砂漠の夜の幻想奇談



(怒られないの?)


「はい。呆れられはしますが、怒られはしません。食を断つと言っても、基本的に普段より食べないよう心掛けていれば少しくらいのつまみ食いは許されます。侍女達だって隠れて間食してますよ」

そう言ってから慌てて「私はしていませんよ!」と付け足す。


(そういえば、カシェルダも断食してるのよね?)


読み上げた文章が自分に向けられた話題で、カシェルダは焦った。

「き、気づいていらしたんですか…」

「カシェルダはイスラム教徒なの?」

ストレートなドニヤの問いに、彼は小さく頷いた。


(やっぱりそうだったのね…。知らなかったわ)


新しい一面を発見し、ちょっと嬉しくなるサフィーア。

するとドニヤが続けて尋ねた。

「それなら、貴方の故郷はこっち?それかサフィーア様と同じ、コンスタンチノープル出身?」