「やれやれ」と黒髪をかきながら、トルカシュが呆れた様子で溜息をついた。
このままじゃこの王子は一生、妻を娶らないのでは…そんな考えが脳内をよぎった。
「わかってるんですか!?結婚して子供でもつくれば、貴方様にだって王位が転がり込んでくるかもしれないんですよ!?」
長男が行方不明な今、王位継承権第一位は彼シャールカーン。
かと思いきや、そうではない。
シャールカーンの母親は側室。
三男カンマカーンの母親は正妃。
王位継承の順番は正妃の子供が優先だ。
たとえ年齢が上で、弟よりも優れた兄でも王位の順番をすっ飛ばされてしまう。
「カンマカーン王子はまだお若いです。貴方様が先に家庭を持てば、王様だって孫可愛さに王位を約束なさるかも…」
「俺は王になどなりたくない」



