砂漠の夜の幻想奇談



(冬は雪が降るくらい寒くなるの)


これを読んでビックリしたカンマカーン。

「雪が降るんですか!?いいな~。見てみたいです。この辺りは雪はおろか、雨すらもごくたまにしか降りませんから」

まだ見たことのない雪への憧れ。

王子が夢見る少女のようにウットリとしていると、しわがれた老婆の声が響いた。

「雪が降るとは……サフィーア様の故郷は北欧でございますか?」

カンマカーンの乳母ダリラが興味深げにサフィーアを見つめる。

その視線に嫌な感じを覚えたが、サフィーアは正直に答えた。


(北欧ではなくて、コンスタンチノープルよ)


紙に書いた文字をカンマカーンに代読してもらう。

「北欧じゃなく、コンスタンチノープル……。そっか、東ヨーロッパの要(カナメ)ですね」

「ほう…あの有名な都でございましたか」