砂漠の夜の幻想奇談


「ふー。今日はとても暑いですね。兄上、倒れなければいいですが…」

「シャールカーン王子は決闘中ですか?」

ドニヤがサフィーアの代わりに会話を繋ぐ。

「はい。体力があって羨ましいです」

苦笑して溜息を吐き出す第三王子。

「まだ初夏だというのにこの暑さ…。本格的に夏が来たら体力のない僕にとっては地獄ですよ」

ゲッソリとした表情を見せてから、カンマカーンは気を取り直して好奇心いっぱいに尋ねた。

「サフィーア姫の故郷はどうですか?やっぱり、こんなに暑いですか?」


(私の故郷……)


サフィーアはコンスタンチノープルの都を思い出しながら、傍にあった紙と筆を持った。


(やっぱり夏は暑いわ)


サラサラとそう書いてから「でも」と付け足す。