砂漠の夜の幻想奇談


ドキドキと高鳴る鼓動はまだ健在。

きっと今シャールカーンに会えばさらに跳ね上がる。


(好き、なのね…)


心を落ち着けるべく、いったん手を止め深呼吸をした。

丁度その時。


「失礼します、サフィーア姫」

柔らかな声と同時にカンマカーンがやって来た。

「今日もご一緒してよろしいですか?」

最近、もっぱら暇な時間をサフィーアと共に過ごしているカンマカーン王子。

サフィーアは今日も今日とて、笑顔で頷いた。

「ありがとうございます!」

ニコニコしながら近くにある長椅子にちょこんと座る。

すると、後ろに控えていたカンマカーンの乳母と侍女達も床に腰を下ろした。

余程過保護に扱われているのか、カンマカーンの場合は常にお付きが数人いるのは当たり前。

何でも一人で行動してしまう兄のシャールカーンとは大違いだ。