砂漠の夜の幻想奇談



 思わぬハプニングがあった午前中は過ぎ去り、午後も自室にて編み物に勤しむ。

日差しが強いので窓辺から距離のある長椅子に座るが、それでも暑いためドニヤが駝鳥の羽根の大きな扇で風を送る。

サフィーアはハァと溜息をついた。


(恥ずかしかった…!)


先程から泉での出来事しか頭にない。


(ふえ……顔合わせづらいよぉ…!)


ダハナシュは別にいい。

魔神だからか、見られたことに対してはあまり気にしていない。

所詮、恋愛対象ではないのだ。

カシェルダの場合も然り。

護衛官の彼に裸どうこうでいちいち文句を言っていたら、いざと言う時に護ってもらえない。

護衛官本人は気にしそうだが。




――サフィーア、とても綺麗な肌だね。思わず見惚れてしまったよ



かけられた言葉を思い出し、サフィーアの口元が少しにやけた。


(シャール…!!)


姫が百面相するほど気にしている相手は誰あろう、シャールカーン王子だった。