砂漠の夜の幻想奇談


「黙れ魔神!!お前も!見てないで行くぞっ!!」

未だのぞき見ているシャールカーンの腕をわし掴む。

その時――。


「誰!?」


ドニヤの声が響いた。

「チッ、気づかれたか」

目をつり上げてこちらに歩いて来るドニヤを確認し、舌打ちするダハナシュ。

逃走しようと泉に背中を向けた三人だったが、僅かに遅かった。

木立を掻き分け、ドニヤの瞳が三人の覗き魔を見つける。

「王子!?カシェルダ!?それにさっきの変態!!」

ビクリと肩を震わせたのは王子と護衛官。

ダハナシュは悪びれる様子もなく文句を言った。

「失礼な。変態ではない。美をこよなく愛する魔神だ」

「あんたなんか変態覗き魔神で十分よ!」

「言ってくれるなぁ。まあ、いい」

するとダハナシュは堂々とサフィーアのいる泉の方へ歩き出した。