「ん?」
不意に視界の端に入った黒髪。
「今のは、さっきの!」
シャールカーンは勢いよく振り返り、視界に捉えたダハナシュを見遣った。
「魔神か!!」
カシェルダも気づき、決闘はお預け。
中庭の奥へスススと飛ぶように歩いていく魔神を追っかけ、二人はサフィーアがいる木立へと駆け寄った。
「魔神!貴様とっととここから去――」
「しーっ」
追いついて喚き立てるカシェルダに対し、ダハナシュが「静かに」と警告。
彼は生い茂る木立の隙間から泉の方をのぞき見て何やらニヤニヤしている。
「何を見てるんだい?」
興味を持ったシャールカーンが小声で尋ねた。
「お二方も立派な男だからな。興味があるだろう?見るといい。天から舞い降りた天女(フーリー)がいるぞ」



