砂漠の夜の幻想奇談



 ところ変わって、東のイスラム国家。

平安の都、バグダード。

ここはオマル・アル・ネマーン王、通称オマル王が支配している。


さて、いきなりな話、イスラム国家とキリスト教国で最大に異なる王族事情は、妻の数。

つまり、一夫多妻か否かにある。

キリスト教徒は夫一人に妻一人と決まっているが、イスラム教徒はそうではない。

ゆえに、オマル王には妻がなんと三百六十四人もいた。

正式な王妃が四人。

本妻ではない側女が三百六十人。

よってオマル王はそれぞれの妻と一年に一夜だけ共に過ごし、翌年にならなければ再び会うことはなかった。


さて、それ程多くの妻がいたにもかかわらず、なかなか子供を持てなかったオマル王。

子供はたったの三人だけ。