砂漠の夜の幻想奇談


するとバキータは可哀相なくらいビクリと跳ね上がり、檻の隅っこに逃げた。


「大丈夫だ、バキータ。俺は何もしない」

縮こまるバキータに近寄り再び背中をそっと撫でる。

まだビクビクしているバキータを不審に思っていると、あることに気がついた。

「……っ、これは」


指に感じた違和感。

よく見てみると、背中には無数の傷跡が。

何かを察したカシェルダが慌ててバキータの全身を確認する。


「なるほどな…」


身体中にある鞭打たれた跡を見て、カシェルダは自嘲気味に笑った。

「本当……似てるな。俺達は…」

孤独だったバキータ。

重ねるは昔の自分。


「よく頑張ったな…」

カシェルダは祈るように額をバキータへ擦り寄せた。