砂漠の夜の幻想奇談


「へ?」

トルカシュがカシェルダの視線を追う。

すると、廊下の柱に身を潜めながらこちらの様子をうかがうサフィーアとドニヤの姿が。

「うわっ!ついて来てたのか!」

「気配を察知できないとは…武官失格だぞ」

ズバリ言われ、言い訳の余地もなくムスッとするトルカシュを放置して、カシェルダはサフィーアに近づいた。


「姫、ここは危険ですからお戻り下さい」

強い瞳で促される。


(でも……気になるわ)


サフィーアも負けじと見返すが、彼は素っ気なく後ろを向いてしまった。


(カシェルダ…)


再びバキータの檻の傍へ戻る背中を呼び止めることもできない。

後ろから感じるサフィーアの視線に気づき、優秀な護衛官はすれ違い様トルカシュに囁いた。

「トルカシュ、任せた」