砂漠の夜の幻想奇談


すかさず反応したのは、さすが武官と言うべきか。

素早く扉を開けたトルカシュはカシェルダの腕を掴み、檻の外へと引き寄せた。

勢いよくガシャンと扉が閉まる。

間一髪。

カシェルダは無傷で檻の外側に。

「あっぶねぇ!!危ねぇよ!!」

「ああ…確かに危なかった」

冷や汗をかいて取り乱すトルカシュに、冷静な眼差しでバキータを見つめるカシェルダ。

「もうやめようぜ!戻ろう!」

「いや……俺は残る」

「はあ!?正気かよ!今どんな目にあったかわかってんのか!?」

「わかってる。バキータに挨拶されたんだ」

「ちげーよゼッテー!!」

ツッコミを入れるトルカシュを綺麗に無視して、カシェルダはちらりと廊下の奥を見やった。

「君は俺の代わりに姫を部屋までお連れしろ」