砂漠の夜の幻想奇談


「バキータ」

再び名を呼んでみる。

するとバキータは身を起こし、カシェルダを睨みつけた。

威嚇するように低い唸り声を発する。

そんなバキータを見て、カシェルダは腰に佩(ハ)いていた三日月刀を鉄格子越しにトルカシュへ渡した。

「預かっていてくれ」

丸腰のカシェルダに呆れるトルカシュ。

しかし、もう何も言うまいと心に決め刀を受け取る。

カシェルダは武器が遠ざかったのを確認してからバキータに向き直った。

「バキータ、大丈夫だ」

ゆっくりと歩み寄る。

そして、そっと手を伸ばした。

すると――。



――ガオオォオ!!!!


地下に反響する鳴き声。

飛び掛かる巨体。



「危ねぇえ!!!!」


トルカシュが叫んだ。