砂漠の夜の幻想奇談


頭を抱える問題にまたもや溜息を吐き出していると、何を考えたのかカシェルダが口を開いた。

「トルカシュ、バキータに会いたいんだが、檻に案内してくれないか」

「え?別に構わないけど…危険だぜ?」

「わかってる」

「ホントにわかってるのか?」

「ああ。大丈夫だから案内を頼む」

「まあ、そこまで言うなら…。けど、何かあっても俺は責任にとれないからな?」

念を押すトルカシュに頷きながら部屋を出て行くカシェルダ。


(カシェルダ…どうしたのかしら?)


気になったサフィーアは編み物を放置してこっそりと彼らの後をつけることにした。

「尾行かい?俺も参加しようかな」

サフィーアを追いかけるべく窓から中に入って来ようとするシャールカーンを押し返し、ドニヤがビシッと言った。

「王子は執務室にお急ぎ下さい!サフィーア様には私が付き添います。早くお戻りにならないとバルマキーが怖いですよ!」

「ああ…。それは面倒だね」

こうして王子は執務室へ、サフィーアとお付きのドニヤはカシェルダ達の後を追ったのだった。