砂漠の夜の幻想奇談


「王子~、終わりましたか~?」

カシェルダに続いてトルカシュもやって来た。

シャールカーンの決闘中は彼とバルマキーが代わりに政務を執り行っている。

終わったのなら早く仕事に戻れと急かしに来たらしい。

シャールカーンはやれやれといった様子で溜息をついた。

「わかった。わかってるから先に行っ――ん?トルカシュ、その腕はどうしたんだい?」

トルカシュの右腕には包帯が巻かれていた。

今朝にはなかったそれを訝しんで見つめる王子に、苦笑いを返すトルカシュ。

「バキータに噛み付かれたんですよ。餌をやろうとしたのに…危うくこっちが喰われるとこでした」

どうやらバキータに餌をやろうとした結果らしい。

「そうか。バキータには困ったものだ…。どうするべきか…」