砂漠の夜の幻想奇談


「王子!汗をお拭き致します」

「ああ、すまないね。けれど大丈夫。自分でするよ。サフィーア以外の女性に肌を触られたくないんだ」

そう言って侍女が差し出すタオルを受け取るシャールカーン。

一方、カシェルダは…。

「カシェルダ様、冷えた薔薇水がございます。どうぞ、お飲みになって下さい」

「いや、結構だ」

「では氷菓子など…」

「それなら、ひ…サフィーア様に差し上げてくれ。俺は遠慮する」

上半身を起こして片っ端から貢ぎ物を断るカシェルダ。


「ほら。お二人とも、サフィーア様第一主義者でしょう?」

得意げに笑むドニヤ。

そんな自分の侍女を横目に、サフィーアはまた筆を取り、言いたいことを書き始めた。


(でも、カシェルダは冷たいと思うわ。あんな態度なのに好きになるものなの?)


カンマカーンに代弁してもらうと、ドニヤはやれやれといった表情で肩を竦めた。