砂漠の夜の幻想奇談


そしてギュッとサフィーアを抱きしめる。

「母上…?」

「サフィーア…私を責めないのですか?」

「責めたりしません。私を生んで下さった母上を、どうして責められますか?」

「サフィーア…ごめんなさい…ありがとう」

ずっと自分の胸に重くのしかかっていた苦しい秘密。

後悔する度に誰かに謝りたくて、けれど飲み込んでいた言葉。

やっと吐き出せて、少し心が楽になった。


「ごめんなさいは兄上達にとっておいて。絶対に見つけるから」

「さ、サフィーア!?」

ニコッと笑いながら腕から逃れる愛娘。

「カシェルダ、サフィーアを王宮の外に連れ出してはなりませんよ!」

「はっ!承知致しました」

可憐な見た目の割には発想がお転婆に育った姫に、保護者はやれやれと溜息を零した。