砂漠の夜の幻想奇談


彼女は知りたいことを再び紙に書いた。

質問内容は、ラマダーンはいつ終わるのか、だ。


「断食期間は三十日だよ。それまで俺はサフィーアと一緒に食事がとれないんだ。楽しみが減ってつまらないよ」


(三十日!?一ヶ月近くも断食するの!?)


お腹が減りすぎて倒れたりしないのだろうか。


(三十日なんて…死んじゃうよ…!)


自分が真似したら途中餓死する自信がある。


(シャールがそうなら、ドニヤもトルカシュもバルマキーも…カンマカーン王子もみんな断食!?……驚いたわ。イスラム教徒の方々って凄いのね)


「我々が断食しているからって、君は気にしなくていいからね。存分に食すといいよ」

シャールカーンの言葉にハッとなる。


(そうだわ!私だけいっぱい食べるなんて失礼よね!シャール達だって我慢してるんだから、私だって…)


日中、何も食べないなんて無理だから、せめて普段よりは少なめにいただこう。

王子の思いとは裏腹に、心の中でそう決めてからサフィーアは朝食のために手を洗った。