砂漠の夜の幻想奇談


決闘で負った切り傷に薬を塗り、なかでも深い傷には包帯を巻いていく。

指揮官として戦にも赴いた経験があるためか、その作業は妙に手慣れていた。

最後に手の平の傷を確認して、そこにも包帯を巻き始める。

口と片手を使いながら器用に巻いていくが、両手が使えないためあまり上手くない。

彼も苦戦しているようだ。


(ああ~、もう!見てられない!)


サフィーアは気づいて欲しくて軽く手を叩いた。

すると、音に反応しシャールカーンがこちらを向く。

「サフィーア?」


窓辺まで来るよう手招きしようとしたら、それよりも先に相手が笑顔で近づいてきた。

「やあ、君の部屋はここだったんだね」

彼は窓越しに部屋を覗き込むと、何やら一人で納得した。