砂漠の夜の幻想奇談



 ドニヤが出て行き、手元に置いてあったランプの小さな灯を吹き消した。

少しの間、夜の闇に視界を奪われていたが、しばらくして窓から入り込む星明かりに気づいた。


(綺麗…)


故郷で見上げる夜空よりも砂漠の国の星空は美しく思える。

サフィーアは横になる前に窓辺へ近寄り、天上の煌めきを眺めた。

うっとりして溜息をつきながら眼前に広がる中庭にも目を向ける。

サフィーアの部屋は一階で、窓の外はすぐ中庭だ。

清涼な効果音を奏でる噴水の存在が心地好い。


(あら?あれは…)


噴水の縁に誰かが腰掛けている。

暗闇にも輝いて見える金色の髪。

透き通るような白皙。


(シャール…)


美の化身とも言える第二王子は静かな中庭で独り、傷の手当てをしていた。