砂漠の夜の幻想奇談


「わかったよ。バキータはこちらで預かるとしよう。もし手なずけに成功したら俺が貰っていいのかな?」

「もちろんです!頑張って下さい兄上!応援しますっ」

「ありがとう、カン」

無邪気に微笑む弟につられ、彼も笑みを浮かべた時だった。


「シャールカーン王子」


カンマカーンの傍で控えていた老婆が声を出した。

「ん?お前はダリラか。なんだ?」

ダリラと呼ばれた老婆はシワの多い醜い外見で、サフィーアにとって第一印象は最低だった。

カンマカーンの乳母らしいが、どうも好きになれそうにない。

「バキータは長旅での疲れや苛立ちからか、いつも以上に興奮しております。定期的に庭へ放してやると落ち着きを取り戻すやもしれません」

「…………わかった。覚えておこう」