「バキータを処分するという意見も出たんです。けれど、それはあんまりだから僕は父上に反対しました。そしたら…」
言いにくそうに言葉を切った後、末弟の王子は躊躇いがちに続けた。
「シャール兄上ならバキータを手なずけられるかもしれないと…母上が…」
「そうか…。ゾバイダ様がね…」
何と無く話が見えてきたぞと、心中溜息を吐き出すシャールカーン。
カンマカーンの母親、ゾバイダ王妃は自分のことを嫌っている。
ゆえに、爆弾のように危険でどんな荷物よりも厄介なバキータを寄越したのだろう。
嫌がらせとして。
いや、彼女のことだからバキータを調教したあげく「第二王子を喰ってこい」と命じているかもしれない。
まあ、それは行き過ぎた考えだとしてもバキータが危険であることに変わりはない。



